きく2号 2014.09.28
§.はじめに
2014年9月28日に日本の静止衛星では最も古い 『きく2号』 を撮影することが出来ました。実はこの衛星の撮影には 2012年8月20日に初挑戦して以来、10回トライしましたが、全く歯が立たなかった難物でした。11回目の挑戦でやっと、本当にやっと成功しました。あまりにも嬉しかったので、ついつい この記事を書いてしまった次第です。
2014年9月28日に日本の静止衛星では最も古い 『きく2号』 を撮影することが出来ました。実はこの衛星の撮影には 2012年8月20日に初挑戦して以来、10回トライしましたが、全く歯が立たなかった難物でした。11回目の挑戦でやっと、本当にやっと成功しました。あまりにも嬉しかったので、ついつい この記事を書いてしまった次第です。
§.きく2号とは?
日本の技術試験衛星 『きく』 シリーズの2号機で、日本として静止軌道への打上げ技術の確立を目的として、1977年2月23日に打ち上げられました。大きさは直径約140cm、高さ90cmの円筒形をしています。目的は
達成され寿命も尽きたので、現在は静止軌道付近を漂う宇宙ゴミとなっています。軌道周期も静止衛星よりは
少しだけ長い値に変更されているので、約380日かかって地球を一周して戻って来ます。ということで 2012~
2014年は秋ごろに日本の上空にあり、そのころが撮影チャンスです。
§.撮影は容易?
最近の静止衛星(ひまわり7号や放送衛星など)は多機能化のため大型のものが多く、比較的簡単に撮影することが出来ます。それらの衛星に比べて 『きく2号』 は小さくて、断面積比で 1/7~1/20 ぐらいしかありませんが、光度で言うと 2~3等級 暗いだけに相当します。 比較的小型の初期の静止衛星(ひまわり、さくら、ゆり等)と比べても断面積比 1/4~1/6 なので、光度換算で 1~2等級暗いだけのはずです。ひまわり、さくら、ゆり等の初期の静止衛星はほとんど苦労もなく撮影できたので、それらよりも 1~2等級 暗いだけなら手こずらずに写せるだろうと安易に考えていました。
§.なぜ写らない?
ところが、これが全く写らないのです。下の表は今までに撮影を試みたけれど写らなかった時の撮影データです。ISO感度を変えたり、露出時間を変えてみたり、色々と試行錯誤しました。
最近の静止衛星(ひまわり7号や放送衛星など)は多機能化のため大型のものが多く、比較的簡単に撮影することが出来ます。それらの衛星に比べて 『きく2号』 は小さくて、断面積比で 1/7~1/20 ぐらいしかありませんが、光度で言うと 2~3等級 暗いだけに相当します。 比較的小型の初期の静止衛星(ひまわり、さくら、ゆり等)と比べても断面積比 1/4~1/6 なので、光度換算で 1~2等級暗いだけのはずです。ひまわり、さくら、ゆり等の初期の静止衛星はほとんど苦労もなく撮影できたので、それらよりも 1~2等級 暗いだけなら手こずらずに写せるだろうと安易に考えていました。
§.なぜ写らない?
ところが、これが全く写らないのです。下の表は今までに撮影を試みたけれど写らなかった時の撮影データです。ISO感度を変えたり、露出時間を変えてみたり、色々と試行錯誤しました。
暗い衛星だから、背景が明るい自宅での撮影は無理だと結論づけて、7回目、8回目の挑戦は富士山まで遠征しました。それでも写らなかったので、ほとんどギブアップ状態になりましたが、メトカーフ加算合成を試みたら どうだろうと思い立ち、9回目、10回目の挑戦は きく2号 が北行状態から南行状態に移る時に実行しました。つまり北行から南行に変わる時には約2分30秒ほどの間、赤緯が変化しない状態になります。この時は静止衛星とほぼ同じ状態なので、この時に撮った数コマをメトカーフ加算合成すれば、明るい点像が得られるはずだと思いました。しかし結果は、恒星の軌跡と重なってしまったのかどうか、とにかく全くダメでした。なぜ写らないのか全く分からないまま、『きく2号』 は西空に低くなって行き、2013年の撮影タイミングは終わりました。
§.2014年の挑戦
2014年の秋が近付いて来て、『きく2号』 が東の低空に見えるようになって来ました。しかしなぜ写らないのか分からないので元気が出ません。北行から南行への移行時に撮影するという思い付きは 我ながら良いアイデアだと思いますが、写らないなら仕方がありません。ということで、このアイデアは諦めて、今年(2014年)は、高感度、暗い背景、長露出で再挑戦してみることにしました。9月28日に富士山須走五合目で撮った画像3枚を 『きく2号』 の動きに合わせてメトカーフ加算合成を行ったところ、微かではあるが初めてそれらしき軌跡が写りました。(⇒写真A) 同じ3枚を比較明合成(写真B)して確認すると、確かに軌跡が認められました。移動も認められ、移動方向も予報通りです。撮影成功!合掌。 (2014.10.29 記)
§.2014年の挑戦
2014年の秋が近付いて来て、『きく2号』 が東の低空に見えるようになって来ました。しかしなぜ写らないのか分からないので元気が出ません。北行から南行への移行時に撮影するという思い付きは 我ながら良いアイデアだと思いますが、写らないなら仕方がありません。ということで、このアイデアは諦めて、今年(2014年)は、高感度、暗い背景、長露出で再挑戦してみることにしました。9月28日に富士山須走五合目で撮った画像3枚を 『きく2号』 の動きに合わせてメトカーフ加算合成を行ったところ、微かではあるが初めてそれらしき軌跡が写りました。(⇒写真A) 同じ3枚を比較明合成(写真B)して確認すると、確かに軌跡が認められました。移動も認められ、移動方向も予報通りです。撮影成功!合掌。 (2014.10.29 記)
【共通撮影データ】 2014年9月28日 02h20m10s~42s JST SE250N直焦(コマコレ) LPS-P2 EOS-6D ISO20000 固定撮影