しずく & R/B, SDS-4, 鳳龍弐号, deb-h 2012.05.19
§.はじめに
2012年5月18日01時39分(JST) に 第一期水循環変動観測衛星 『しずく』 が打上げられました。久しぶりの H-2A ロケットの打上げなので打上げ直後の「しずく」を撮影したいと思い、手ぐすねを引いて待ち受けましたが、実際の撮影はドタバタとしてしまいました。一応、撮影は出来たので写真とともに撮影経緯を掲載します。
2012年5月18日01時39分(JST) に 第一期水循環変動観測衛星 『しずく』 が打上げられました。久しぶりの H-2A ロケットの打上げなので打上げ直後の「しずく」を撮影したいと思い、手ぐすねを引いて待ち受けましたが、実際の撮影はドタバタとしてしまいました。一応、撮影は出来たので写真とともに撮影経緯を掲載します。
§.『打上げ』 の瞬間は見えるか?
ところが、後日「徳島」でこの打上げが撮影されたことを知りました。図-1の中に黄色矢印でその場所を示しましたが、徳島の動画からは、第1段ロケット以外にも第2段ロケットと思われるものも写っていました。(⇒ http://youtu.be/ZQkQSzQp2jE )
更に驚いたことに、鹿児島・長崎・徳島・千葉 で、打上げ時に空が赤く発光する現象が捉えられていました。その撮影者が JAXA に問い合わせ、JAXA が以下の回答をしております。
・「波長630nm、電離圏F層の酸素原子の発光であると思われる」
・「ロケットの通過によって生じた大気の擾乱(じょうらん)が発光の原因と推測される」
この現象が秦野よりも遠方の千葉でも撮影されているので、次のチャンスにはロケットの軌跡だけでなく、発光現象も狙ってみたいものです。
更に驚いたことに、鹿児島・長崎・徳島・千葉 で、打上げ時に空が赤く発光する現象が捉えられていました。その撮影者が JAXA に問い合わせ、JAXA が以下の回答をしております。
・「波長630nm、電離圏F層の酸素原子の発光であると思われる」
・「ロケットの通過によって生じた大気の擾乱(じょうらん)が発光の原因と推測される」
この現象が秦野よりも遠方の千葉でも撮影されているので、次のチャンスにはロケットの軌跡だけでなく、発光現象も狙ってみたいものです。
§.しずくの軌道要素?
打上げの瞬間は雨のため撮影出来なかったので、翌日の通過を撮影しようと思い、軌道要素を探しましたが、これがなかなか公開されませんでした。18日の昼ごろにやっと 2012-025A の要素(TLE)を見つけましたが、これが 『しずく』 だという確証がありません。『しずく』 は、4個同時打上げだったし、そのロケットやフェアリングも軌道に乗っているはずなので、少なくとも 7個の衛星が誕生しているはずですから、-025GまでのTLE が公開されるべきです。しかし どこにも見当たりません。 -025A の数値は 『しずく』 の予定軌道とほぼ一致しているので間違いはなさそうですが -025A が 『しずく』 なのか、または韓国の衛星なのか、全く情報がありません。そうこうしている内に -025B のTLE が公開されました。これで、どちらかが 『しずく』 だろうと思い両方の予報を計算しました。(たぶん八割方は-025A が 『しずく』 だろうとは思っていました。)
19日の2時18分ごろに見えるので観測星図を作成して、それで準備は整ったはずでした。
打上げの瞬間は雨のため撮影出来なかったので、翌日の通過を撮影しようと思い、軌道要素を探しましたが、これがなかなか公開されませんでした。18日の昼ごろにやっと 2012-025A の要素(TLE)を見つけましたが、これが 『しずく』 だという確証がありません。『しずく』 は、4個同時打上げだったし、そのロケットやフェアリングも軌道に乗っているはずなので、少なくとも 7個の衛星が誕生しているはずですから、-025GまでのTLE が公開されるべきです。しかし どこにも見当たりません。 -025A の数値は 『しずく』 の予定軌道とほぼ一致しているので間違いはなさそうですが -025A が 『しずく』 なのか、または韓国の衛星なのか、全く情報がありません。そうこうしている内に -025B のTLE が公開されました。これで、どちらかが 『しずく』 だろうと思い両方の予報を計算しました。(たぶん八割方は-025A が 『しずく』 だろうとは思っていました。)
19日の2時18分ごろに見えるので観測星図を作成して、それで準備は整ったはずでした。
§.撮影のドタバタ
夕方は雲が多かったのですが、望遠鏡をセットして雲間の星を漠然と覗きながら晴れるのを待ちました。そして21時過ぎからは晴れて来たので、撮影計画した超新星や日本の人工衛星を撮影しました。一段落して 1時前に休憩のため部屋に入って、何となくネットで 『しずく』 のTLE を見ると -025H までの 8個が公開されていました。『しまった、もっと早くに気が付けば良かった』 と焦りながら予報を計算すると、8個の衛星は 打上げの一日後なので、まだ軌道がそれほど ばらけてはおらず 10数分の間に同じような場所を通過して行くことが分かりました。通過まであと一時間しかありません。位置が分かっても観測星図を作らないと撮影できる確率は(ゼロではないが)格段に低くなってしまいます。いつものように丁寧に作れば1個の衛星用を作るのに10分は必要です。そんな時間はないので、とにかくバタバタと大慌てで作成して、足らない情報は手書きで追加することにしました。それでも星図をプリントして外へ飛び出した時は 2時10分で既に -025F は通過したあとでした。2番目(2時15分)に通過する -025B に合わせてシャッターを切りました。モニターでは写ったかどうか不明でしたが確認する時間的な余裕もなく、2時16分通過の -025C の位置へ望遠鏡を 40’ だけずらして撮影しました。更に17分には -025G , -025H , -025E , -025D が相次いで通過して行きました。そして最後に -025A が18分に通過しました。時計を睨みながら所定量だけ望遠鏡をずらして通過時刻にシャッターを切るという作業を、とにかく目が回るような忙しさで実施しました。ともあれドタバタしましたが、その甲斐あってか、8個の衛星中 6個が写ってくれました。もともと -025F は通過時刻に間に合わなかったので、実際に写せなかったのは -025G だけです。-025G の通過時刻にはシャッターを切っていたので写っていてもよいのですが、想定以上に暗いのか、それとも変光が激しいのかも知れません。
夕方は雲が多かったのですが、望遠鏡をセットして雲間の星を漠然と覗きながら晴れるのを待ちました。そして21時過ぎからは晴れて来たので、撮影計画した超新星や日本の人工衛星を撮影しました。一段落して 1時前に休憩のため部屋に入って、何となくネットで 『しずく』 のTLE を見ると -025H までの 8個が公開されていました。『しまった、もっと早くに気が付けば良かった』 と焦りながら予報を計算すると、8個の衛星は 打上げの一日後なので、まだ軌道がそれほど ばらけてはおらず 10数分の間に同じような場所を通過して行くことが分かりました。通過まであと一時間しかありません。位置が分かっても観測星図を作らないと撮影できる確率は(ゼロではないが)格段に低くなってしまいます。いつものように丁寧に作れば1個の衛星用を作るのに10分は必要です。そんな時間はないので、とにかくバタバタと大慌てで作成して、足らない情報は手書きで追加することにしました。それでも星図をプリントして外へ飛び出した時は 2時10分で既に -025F は通過したあとでした。2番目(2時15分)に通過する -025B に合わせてシャッターを切りました。モニターでは写ったかどうか不明でしたが確認する時間的な余裕もなく、2時16分通過の -025C の位置へ望遠鏡を 40’ だけずらして撮影しました。更に17分には -025G , -025H , -025E , -025D が相次いで通過して行きました。そして最後に -025A が18分に通過しました。時計を睨みながら所定量だけ望遠鏡をずらして通過時刻にシャッターを切るという作業を、とにかく目が回るような忙しさで実施しました。ともあれドタバタしましたが、その甲斐あってか、8個の衛星中 6個が写ってくれました。もともと -025F は通過時刻に間に合わなかったので、実際に写せなかったのは -025G だけです。-025G の通過時刻にはシャッターを切っていたので写っていてもよいのですが、想定以上に暗いのか、それとも変光が激しいのかも知れません。
§.一体どれがどれなのか? 写った6個の軌跡は、撮影時刻に最も近い軌道要素から計算した位置から簡単に同定が出来ました。すなわち、『この軌跡は-025C のものだ』 とかの決定は出来たのですが、では -025C の衛星名は SDS-4 なのか、それとも鳳龍弐号なのか、または H-2A最終段なのかの情報はなかなか見つかりませんでした。更新されるTLE の衛星名がいつまでも Object-A , B , ・・・ , H のままだったからです。5月23日の更新で、やっと2012-025A が 『しずく』 、-025B が韓国の衛星、-025Cが SDS-4 、-025D が鳳龍弐号、-025E が H-2A R/B であると分かりました。そして、-025F と G がフェアリングであり、-025H がアダプターであることを私が知ったのは6月になってからでした。 |
2012.08.02
2013.04.14