小惑星 (1566) イカルス
2015年6月16日の深夜、アポロ群小惑星イカルスが地球に約800万kmまで接近しました。位相の関係で最大光度は最接近より遅れて 6月18日に 13.5等星にまで明るくなりました。子供のころに小惑星アポロやイカルスが地球に衝突するかも知れないと言われ大変興味を持ちました。その後、衝突は無いことは分かりましたが、依然として一度は見てみたい憧れの星であり続けました。そして今年そのチャンスが来るのをワクワクしながら待ちました。
§.いきなり脱線。名前はイカルス? イカロス?
タイトルは忘れましたが、子供のために唄った童謡に 『♪♪むかし、ギリシャのイカロスは・・・』というのがありました。また宝塚歌劇にも 『ICARUS イカロス』 というのがあります。あれ?イカルスじゃないの? ・・・・・ どちらでも良いようなものですが、気になるので調べてみました。ギリシャ神話に出て来る人物名は イーカロス が正しいようで、イカロスはその長音が脱落したものらしいです。一方、ラテン語読みだと イカルス に近いようです。小惑星の名前としては、この イカルス が一般的らしいので今までと同様に今後とも イカルス を使おうと思います。
タイトルは忘れましたが、子供のために唄った童謡に 『♪♪むかし、ギリシャのイカロスは・・・』というのがありました。また宝塚歌劇にも 『ICARUS イカロス』 というのがあります。あれ?イカルスじゃないの? ・・・・・ どちらでも良いようなものですが、気になるので調べてみました。ギリシャ神話に出て来る人物名は イーカロス が正しいようで、イカロスはその長音が脱落したものらしいです。一方、ラテン語読みだと イカルス に近いようです。小惑星の名前としては、この イカルス が一般的らしいので今までと同様に今後とも イカルス を使おうと思います。
ままに終わってしまうことが懸念されます。13日のGPVの広域(長期)予報では静岡(16日)、新潟(17日)、秋田(18日)ぐらいしか晴れそうな場所がありませんでした。16日の静岡は少し疑わしかったので遠征先は新潟県阿賀野市を第1候補として、17日当日まで天気予報をしっかりとウォッチすることにしました。
§.奇跡の 6月15日
いよいよイカルスが16等よりも明るくなって撮影シーズンが始まった 6月15日、天気予報が外れて午後は薄雲が広がるものの薄水色の部分も見られる空模様となって来ました。この調子でもっと回復が進むように祈りましたが、進展のないまま日没となりました。今日もダメかと思いつつも僅かな期待を持って望遠鏡を出し暗くなるのを待ちました。天文薄明終了の30分前、周囲は十分暗くなりましたが、西空には木星と金星が滲んで見えるのみです。天頂付近にはアークチュルスしか見えず、北斗七星は全く見えません。こういう表現が正しいのかどうか知りませんが雲量は 9/10、透明度は ゼロ です。半ば諦めつつ極軸を合わせるために極望を覗くと、北極星が見えません。やはりダメかと目を凝らすと暗い星が見えてきて、それが北極星でした。雲に隠れる前に急いで極軸を合わせて、アークチュルスでアライメントを取りました。
写るかどうかは分かりませんが、とにかく梅雨の最中に撮影に挑戦できるだけでも奇跡だと思いました。何ヶ月も前から晴天を祈っていたことがチョットだけ報われた感じがしました。
§.奇跡の 6月15日
いよいよイカルスが16等よりも明るくなって撮影シーズンが始まった 6月15日、天気予報が外れて午後は薄雲が広がるものの薄水色の部分も見られる空模様となって来ました。この調子でもっと回復が進むように祈りましたが、進展のないまま日没となりました。今日もダメかと思いつつも僅かな期待を持って望遠鏡を出し暗くなるのを待ちました。天文薄明終了の30分前、周囲は十分暗くなりましたが、西空には木星と金星が滲んで見えるのみです。天頂付近にはアークチュルスしか見えず、北斗七星は全く見えません。こういう表現が正しいのかどうか知りませんが雲量は 9/10、透明度は ゼロ です。半ば諦めつつ極軸を合わせるために極望を覗くと、北極星が見えません。やはりダメかと目を凝らすと暗い星が見えてきて、それが北極星でした。雲に隠れる前に急いで極軸を合わせて、アークチュルスでアライメントを取りました。
写るかどうかは分かりませんが、とにかく梅雨の最中に撮影に挑戦できるだけでも奇跡だと思いました。何ヶ月も前から晴天を祈っていたことがチョットだけ報われた感じがしました。
§.実際の撮影
早速 イカルスがいる場所に望遠鏡を向けて試し撮りをするとモニターで 11等星が写っているのが確認できました。多分薄雲がかかっている為でしょうが ISO6400 では白く露出オーバーになるので、露出は10秒&ISO3200 として、15秒ごとに 1コマづつ連続撮影をしました。
この日(15日)のイカルスは 15.3等星なので、撮影後の画像処理でも表示できるかどうか不安でしたが、もしダメだったとしても挑戦した証拠ぐらいにはなるだろうと思い撮影を続けました。
早速 イカルスがいる場所に望遠鏡を向けて試し撮りをするとモニターで 11等星が写っているのが確認できました。多分薄雲がかかっている為でしょうが ISO6400 では白く露出オーバーになるので、露出は10秒&ISO3200 として、15秒ごとに 1コマづつ連続撮影をしました。
この日(15日)のイカルスは 15.3等星なので、撮影後の画像処理でも表示できるかどうか不安でしたが、もしダメだったとしても挑戦した証拠ぐらいにはなるだろうと思い撮影を続けました。
§.画像整理
連続撮影済みの画像を見ていると薄く覆っている雲にも濃淡があって星が全く写っていないコマもあります。イカルスの移動速度が大きいので 5分で十分に移動量が表現できると思い、まず雲が薄いコマにマークを付けました。そして 「5分連続しているグループ」 & 「グループの撮影開始時刻が10分離れていること」 という条件で連続しているコマのグループを決めました。(⇒下記画像の ①, ②, ③) 残念ながら①と②の間隔は雲通過のために20分となりました。それぞれのグループ(=①, ②, ③) をメトカーフ加算合成して、得られた画像を恒星の軌跡を合わせて比較明合成しました。これで、恒星の軌跡の長さからイカルスの5分間の移動量が分かり、かつ イカルスの点像の間隔から 20分間&10分間の移動量が分かります。
連続撮影済みの画像を見ていると薄く覆っている雲にも濃淡があって星が全く写っていないコマもあります。イカルスの移動速度が大きいので 5分で十分に移動量が表現できると思い、まず雲が薄いコマにマークを付けました。そして 「5分連続しているグループ」 & 「グループの撮影開始時刻が10分離れていること」 という条件で連続しているコマのグループを決めました。(⇒下記画像の ①, ②, ③) 残念ながら①と②の間隔は雲通過のために20分となりました。それぞれのグループ(=①, ②, ③) をメトカーフ加算合成して、得られた画像を恒星の軌跡を合わせて比較明合成しました。これで、恒星の軌跡の長さからイカルスの5分間の移動量が分かり、かつ イカルスの点像の間隔から 20分間&10分間の移動量が分かります。
子供のころからの憧れの星 『イカルス』 が撮影できて満足です。満足感が大きかったのか、新潟県への遠征はどうでもよくなり、また直前のGPVでは晴夜になるかどうか疑わしく、結局は17日、18日の遠征は中止しました。
§.6月21日、奇跡が再び!
イカルスは撮影できたものの暗かった(15.3等星)ので、定番の線を引いた画像は無理でした。そこで新潟までの遠征は考えないが近場で晴れる所はないか GPV気象予報をチェックしていたら 6月21日の夜は南関東では富士山だけがポッカリと黒く抜けていました。絶対に晴れると確信して雨の降る中で機材を車に積み込み、18時に出発しました。道中でも雨は止まず、(車の)登山道は数メートル先が見えない程の濃霧(というより雲の中)でした。19時半に五合目駐車場に着いても霧は少し薄くなったものの小雨がシトシトと降っている有様でした。東京や横浜からのグループが10名程先着していてガッカリしていましたが、彼らの別働隊が 「富士宮口」 にも展開しているようで携帯で富士宮は晴れて来たと連絡してきていました。富士宮は須走よりも標高が高いので、あと400メートルぐらい雲が下がれば須走も晴れるはずです。・・・・・・・・22h55m、アークチュルスが見えたかと思うとあっという間に晴れて、5分後の23h00mには満天の星空になりました。しかも下界は雲海の下なので本当に素晴らしい天の川が輝いています。大慌てで望遠鏡を設置して撮影を開始しましたが、寒い中 2時間も待機した甲斐がありました。イカルスは既に西に傾いていて早く撮らないと富士山に沈みそうです。でも間に合って良かった!
§.6月21日、奇跡が再び!
イカルスは撮影できたものの暗かった(15.3等星)ので、定番の線を引いた画像は無理でした。そこで新潟までの遠征は考えないが近場で晴れる所はないか GPV気象予報をチェックしていたら 6月21日の夜は南関東では富士山だけがポッカリと黒く抜けていました。絶対に晴れると確信して雨の降る中で機材を車に積み込み、18時に出発しました。道中でも雨は止まず、(車の)登山道は数メートル先が見えない程の濃霧(というより雲の中)でした。19時半に五合目駐車場に着いても霧は少し薄くなったものの小雨がシトシトと降っている有様でした。東京や横浜からのグループが10名程先着していてガッカリしていましたが、彼らの別働隊が 「富士宮口」 にも展開しているようで携帯で富士宮は晴れて来たと連絡してきていました。富士宮は須走よりも標高が高いので、あと400メートルぐらい雲が下がれば須走も晴れるはずです。・・・・・・・・22h55m、アークチュルスが見えたかと思うとあっという間に晴れて、5分後の23h00mには満天の星空になりました。しかも下界は雲海の下なので本当に素晴らしい天の川が輝いています。大慌てで望遠鏡を設置して撮影を開始しましたが、寒い中 2時間も待機した甲斐がありました。イカルスは既に西に傾いていて早く撮らないと富士山に沈みそうです。でも間に合って良かった!
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