レーダ7号機 R/B (H-2A-46)
§.はじめに
2023年1月26日に情報収集衛星『レーダ7号機』が H-2A ロケット46号機で打ち上げられました。スパイ衛星ですから当然ながら軌道要素(TLE)は公開されません。ただし これまでの情報収集衛星は 全て太陽同期軌道に打ち上げられているので、レーダ7号機 & R/B も 太陽同期軌道だと推測できます。 ということは、夏至のころまでは撮影できない可能性が大きいことになります。
TLEが非公開なので推定のTLEを作っても意味がありません。(∵ 精度が悪いので予報に使えるのは精々1~2週間先までであり、
3~4ヶ月先の夏至のころまでの予報は無理。)
そこで いつもお世話になっているアマチュアグループの観測網により発見されるのを期待して待つしか手がありません。幸か不幸か、夏至シーズンまでは まだ3~4ヶ月あるので、それまでにはアマチュアグループによって発見され TLE が計算されるでしょう。
§.アマチュア観測網が発見
時々アマチュアグループのサイトをチェックしていたのですが、4月3日にチェックした時には未だ発見されていませんでした。
しかし4月13日のチェックでは、レーダ7号機とそのR/B の2個のTLEが掲載されていました。早速 予報位置を計算してみましたが、まだ地上高が 5.2゚と低く、撮影は無理です。
4月20日は晴れそうだったので最新のTLEで計算すると、レーダ7号機本体は 地上高 3.4゚ なので無理ですが、R/Bの方は H = 7.0゚ なので自宅からは無理でも平塚市までプチ遠征すれば撮影できそうです。 (※)平塚の空は秦野よりも光害が酷いが、北側に山が無いので低空まで見える。
2023年1月26日に情報収集衛星『レーダ7号機』が H-2A ロケット46号機で打ち上げられました。スパイ衛星ですから当然ながら軌道要素(TLE)は公開されません。ただし これまでの情報収集衛星は 全て太陽同期軌道に打ち上げられているので、レーダ7号機 & R/B も 太陽同期軌道だと推測できます。 ということは、夏至のころまでは撮影できない可能性が大きいことになります。
TLEが非公開なので推定のTLEを作っても意味がありません。(∵ 精度が悪いので予報に使えるのは精々1~2週間先までであり、
3~4ヶ月先の夏至のころまでの予報は無理。)
そこで いつもお世話になっているアマチュアグループの観測網により発見されるのを期待して待つしか手がありません。幸か不幸か、夏至シーズンまでは まだ3~4ヶ月あるので、それまでにはアマチュアグループによって発見され TLE が計算されるでしょう。
§.アマチュア観測網が発見
時々アマチュアグループのサイトをチェックしていたのですが、4月3日にチェックした時には未だ発見されていませんでした。
しかし4月13日のチェックでは、レーダ7号機とそのR/B の2個のTLEが掲載されていました。早速 予報位置を計算してみましたが、まだ地上高が 5.2゚と低く、撮影は無理です。
4月20日は晴れそうだったので最新のTLEで計算すると、レーダ7号機本体は 地上高 3.4゚ なので無理ですが、R/Bの方は H = 7.0゚ なので自宅からは無理でも平塚市までプチ遠征すれば撮影できそうです。 (※)平塚の空は秦野よりも光害が酷いが、北側に山が無いので低空まで見える。
§.4月28日の撮影 …… 怪しい衛星
20日の画像は辛うじて写っているという感じなので、28日に自宅から再度撮影するつもりで、レーダ7号機本体と R/B の予報を計算しました。本体は H = 6.3゚、R/B は H = 10.3゚ だったので、本体は山が邪魔で撮影不可なので R/Bを撮影することにしました。 20日の予報計算には フリーソフト『Orbitron』を使いましたが、今回(28日)は地上風景との構図決めのためもあり 同じくフリーソフトの『Steiarium』で全衛星を表示して予報図を作りました。すると レーダ7号機 R/B のすぐそばを全く同じ方向にランデブー飛行している中国のデブリがあることが分かりました。その時は 『どうせデブリだから暗くて写らないだろうが、もし写ったらおもしろいな。』 と軽く考えていました。
20日の画像は辛うじて写っているという感じなので、28日に自宅から再度撮影するつもりで、レーダ7号機本体と R/B の予報を計算しました。本体は H = 6.3゚、R/B は H = 10.3゚ だったので、本体は山が邪魔で撮影不可なので R/Bを撮影することにしました。 20日の予報計算には フリーソフト『Orbitron』を使いましたが、今回(28日)は地上風景との構図決めのためもあり 同じくフリーソフトの『Steiarium』で全衛星を表示して予報図を作りました。すると レーダ7号機 R/B のすぐそばを全く同じ方向にランデブー飛行している中国のデブリがあることが分かりました。その時は 『どうせデブリだから暗くて写らないだろうが、もし写ったらおもしろいな。』 と軽く考えていました。
ところが実際に撮影した画像には1機分の軌跡しか写っていませんでした。やはりデブリは暗すぎて写らなかったのかと思いましたが、良く見ると 写った軌跡は R/Bよりも デブリの予報位置に近いと言えます。28日は快晴で透明度も良い状態だったので 今までの経験から H-2A ロケットが写らないはずはありません。それで、H-2A はアマチュア観測から得たTLEだから予報精度が悪いのだろうと判断しました。念のために 中国のデブリ(=2023-032C)の大きさを 「Space-Track」 で調べて見ると何とレーダ-反射面積が "Large" となっていました。つまり反射面積が 1.0㎡ 以上ということなのでこれは十分に撮影可能な大きさです。残念ですが、下記の理由から、写った衛星は H-2A ではなく中国のデブリではないかとの疑念が大きいです。
① 予報位置から判断すれば、中国デブリが妥当。アマチュアの観測はこのデブリを H-2A と誤認したと考えられる。
② レーダ7号機本体のTLEから得られる昇交点通過時刻は、現地時刻で 22h40m 。 一方 H-2Aの昇交点通過時刻は 22h25m なので
少し差が大きいように思われる。(1月26日の打上げ時刻から推定される昇交点通過時刻は 22h45mごろ)
§.H-2A か? それとも中国デブリか?
H-2A(レーダ7号機R/B)を撮影できて喜んでいたのですが、そうではないかも知れないという疑惑が湧いてきたので、これはキチンと決着を付けないと気持ちが悪いです。ということで、5月2日にも撮影しました。予報では やはり H-2A と中国デブリが仲良く
ランデブー飛行して行くことになっていましたが、撮影できたのは1機だけでした。(画像は省略)
① 予報位置から判断すれば、中国デブリが妥当。アマチュアの観測はこのデブリを H-2A と誤認したと考えられる。
② レーダ7号機本体のTLEから得られる昇交点通過時刻は、現地時刻で 22h40m 。 一方 H-2Aの昇交点通過時刻は 22h25m なので
少し差が大きいように思われる。(1月26日の打上げ時刻から推定される昇交点通過時刻は 22h45mごろ)
§.H-2A か? それとも中国デブリか?
H-2A(レーダ7号機R/B)を撮影できて喜んでいたのですが、そうではないかも知れないという疑惑が湧いてきたので、これはキチンと決着を付けないと気持ちが悪いです。ということで、5月2日にも撮影しました。予報では やはり H-2A と中国デブリが仲良く
ランデブー飛行して行くことになっていましたが、撮影できたのは1機だけでした。(画像は省略)
§.TLE (軌道要素) が消えた
それ以来、アマチュアのサイトを頻繁にチェックしていたのですが、5月8日のチェックで、レーダ7号機本体のTLE は掲載されているのに H-2A の TLE は削除されているのに気付きました。やはりアマチュアサイトも誤りに気付いたのでしょうか? その後 H-2A が掲載されない日々が続いたので、再発見観測が無いのだろうとイライラしていましたが、6月5日のチェック時に H-2A が再掲載されているのを見つけました。梅雨で悪天候が続く中6月7日は晴れ間があるかも知れないような天気予報なので、早速 予報を計算してみると H-2A と中国デブリは約12分ほど離れて通過して行きます。そして H-2A の近くには混同するような衛星は1機もありません。更に昇交点通過時刻を調べると、H-2A = 22h39m 、中国デブリ = 22h26m という結果でした。この結果は、4月28日の衛星の昇交点通過時刻が 22h25m だった(前ページ)から この28日の衛星はやはり中国デブリであることを示しています。この TLE 再掲載は 間違いなく H-2A が再発見されたのだと思います。
§.まとめ
下の画像は 6月7日に雲間から撮影した レーダ7号機 R/B (=H-2A-46号機) です。少し混乱しましたが、これは間違いないと思います。4月20日、28日、5月2日 に H-2A-46号機として撮影した画像は H-2A ではなく中国のデブリ(2023-032C) を誤認したものでした。そして下の画像が H-2A-46号機の初撮りの画像です。誤認に気付けて 訂正することが出来て 本当に良かったです。
(2023.06.13 記)
それ以来、アマチュアのサイトを頻繁にチェックしていたのですが、5月8日のチェックで、レーダ7号機本体のTLE は掲載されているのに H-2A の TLE は削除されているのに気付きました。やはりアマチュアサイトも誤りに気付いたのでしょうか? その後 H-2A が掲載されない日々が続いたので、再発見観測が無いのだろうとイライラしていましたが、6月5日のチェック時に H-2A が再掲載されているのを見つけました。梅雨で悪天候が続く中6月7日は晴れ間があるかも知れないような天気予報なので、早速 予報を計算してみると H-2A と中国デブリは約12分ほど離れて通過して行きます。そして H-2A の近くには混同するような衛星は1機もありません。更に昇交点通過時刻を調べると、H-2A = 22h39m 、中国デブリ = 22h26m という結果でした。この結果は、4月28日の衛星の昇交点通過時刻が 22h25m だった(前ページ)から この28日の衛星はやはり中国デブリであることを示しています。この TLE 再掲載は 間違いなく H-2A が再発見されたのだと思います。
§.まとめ
下の画像は 6月7日に雲間から撮影した レーダ7号機 R/B (=H-2A-46号機) です。少し混乱しましたが、これは間違いないと思います。4月20日、28日、5月2日 に H-2A-46号機として撮影した画像は H-2A ではなく中国のデブリ(2023-032C) を誤認したものでした。そして下の画像が H-2A-46号機の初撮りの画像です。誤認に気付けて 訂正することが出来て 本当に良かったです。
(2023.06.13 記)