みずがめ座δ南 流星群 2023/07/30
§.はじめに
昨年(2022年)に このみずがめ座δ南流星群 (=SDA)を8個撮影できて嬉しかったので今年も挑戦しました。極大日の30日は曇りの予報だったので 29日の夜に山梨県忍野村まで遠征しようと考えていたのですが、当日夕方のSCW天気予報では現地は雷雨がありそうでした。迷いましたが 結局は遠征を諦めて自宅で撮影しました。
昨年(2022年)に このみずがめ座δ南流星群 (=SDA)を8個撮影できて嬉しかったので今年も挑戦しました。極大日の30日は曇りの予報だったので 29日の夜に山梨県忍野村まで遠征しようと考えていたのですが、当日夕方のSCW天気予報では現地は雷雨がありそうでした。迷いましたが 結局は遠征を諦めて自宅で撮影しました。
§.初めての動画撮影
流星の動画撮影をしたいと思っていたのですが 動画の処理方法などに必要な環境(ソフト等)が整っていなかったので、練習を兼ねて暗い人工衛星やスターリンク衛星群などを撮影していました。動画処理の目途も付いて来たので、今回初めて動画で 流星群の撮影に挑戦しました。
と言っても保険のために 29日 23h39mから 2時間だけ静止画と背景画像を撮って、その後 月の影響が無くなったので、01h43m25s~03h41m00s の 約2時間、SS=1/30s , 59.94fps , ISO204800で動画を撮りました。カメラは Sony α7SⅢ , レンズは SIGMA 20mm 1:1.8 EX DG ASPHERICAL をF3.5 としました。実は静止画を撮った時に F3.5にまで絞っていたのですが、動画をスタートする時にF2.0~2.8 ぐらいに戻すのを忘れていたので、意図して F3.5とした訳ではありません。(笑)
撮影自体は全く簡単です。静止画を撮るのと同じで、あらかじめステラナビゲータで検討しておいた方向(構図)にカメラを向けて動画(マニュアル)をスタートするだけです。構図は SDA の輻射点が土星の少し下(南)なので、写野中央に土星を入れて右上端にアルタイルが来るようにセットしました。留意点として、動画だと撮影データ等が自動的には記録されないので、『1時43分25秒スタート、シャッター速度1/30秒、ISO20万4800、雲量 1/10、風微風』などと声を出して音声データを残しておくことです。撮影を開始したら、あとは放っておくだけで楽勝です。(笑)
流星の動画撮影をしたいと思っていたのですが 動画の処理方法などに必要な環境(ソフト等)が整っていなかったので、練習を兼ねて暗い人工衛星やスターリンク衛星群などを撮影していました。動画処理の目途も付いて来たので、今回初めて動画で 流星群の撮影に挑戦しました。
と言っても保険のために 29日 23h39mから 2時間だけ静止画と背景画像を撮って、その後 月の影響が無くなったので、01h43m25s~03h41m00s の 約2時間、SS=1/30s , 59.94fps , ISO204800で動画を撮りました。カメラは Sony α7SⅢ , レンズは SIGMA 20mm 1:1.8 EX DG ASPHERICAL をF3.5 としました。実は静止画を撮った時に F3.5にまで絞っていたのですが、動画をスタートする時にF2.0~2.8 ぐらいに戻すのを忘れていたので、意図して F3.5とした訳ではありません。(笑)
撮影自体は全く簡単です。静止画を撮るのと同じで、あらかじめステラナビゲータで検討しておいた方向(構図)にカメラを向けて動画(マニュアル)をスタートするだけです。構図は SDA の輻射点が土星の少し下(南)なので、写野中央に土星を入れて右上端にアルタイルが来るようにセットしました。留意点として、動画だと撮影データ等が自動的には記録されないので、『1時43分25秒スタート、シャッター速度1/30秒、ISO20万4800、雲量 1/10、風微風』などと声を出して音声データを残しておくことです。撮影を開始したら、あとは放っておくだけで楽勝です。(笑)
§.動画チェック
想定はしていたものの、撮影時に楽をした分、動画チェックは大変です。パソコンのモニターに「メディアプレイヤー」で動画を再生して写っている流星を見つけるのですが、一瞬チラっと流れる暗い流星は視野中央付近でないと見落としてしまいます。私は1回目のチェックで画面の左半分のみをチェックして、2回目で右半分をチェックしました。モニター上で流星が流れる(写っている)と、一旦再生を止めてその時刻を記録します。そして10秒分巻き戻して再生を再開します。この繰り返しなので2時間分の動画の左半分をチェックするのに 少なくとも 2時間半ぐらいは必要です。早送り再生したいぐらいですが、1秒にも満たない流星の姿は早送りでは検出は無理です。逆にスロー再生したいぐらいですが効率が悪すぎます。結局 全画面を1回チェックするのに 5時間近くも掛かって、目がショボショボになりましたが、SDA群が23個、その他の流星が 39個 (合計62個) 写っているのが確認できました。なお、ほぼ同時に2個が流れたケースが3回もあり驚きました。
今までに静止画をチェックした経験から考えると、2回目のチェックを実施すれば更に10個ぐらいは見つけられそうですが、SDA群23個に満足して、2回目のチェックは止めました。
想定はしていたものの、撮影時に楽をした分、動画チェックは大変です。パソコンのモニターに「メディアプレイヤー」で動画を再生して写っている流星を見つけるのですが、一瞬チラっと流れる暗い流星は視野中央付近でないと見落としてしまいます。私は1回目のチェックで画面の左半分のみをチェックして、2回目で右半分をチェックしました。モニター上で流星が流れる(写っている)と、一旦再生を止めてその時刻を記録します。そして10秒分巻き戻して再生を再開します。この繰り返しなので2時間分の動画の左半分をチェックするのに 少なくとも 2時間半ぐらいは必要です。早送り再生したいぐらいですが、1秒にも満たない流星の姿は早送りでは検出は無理です。逆にスロー再生したいぐらいですが効率が悪すぎます。結局 全画面を1回チェックするのに 5時間近くも掛かって、目がショボショボになりましたが、SDA群が23個、その他の流星が 39個 (合計62個) 写っているのが確認できました。なお、ほぼ同時に2個が流れたケースが3回もあり驚きました。
今までに静止画をチェックした経験から考えると、2回目のチェックを実施すれば更に10個ぐらいは見つけられそうですが、SDA群23個に満足して、2回目のチェックは止めました。
§.流星部分の切り出し
次のステップは、一つの流星が写っている部分の前後を削除して 1.5~3秒分ぐらいの動画を作成します。これを全ての流星について実施します。同時に流れた流星が3個あるので、結果的には 59編のショートムービーが出来ました。
次のステップは、一つの流星が写っている部分の前後を削除して 1.5~3秒分ぐらいの動画を作成します。これを全ての流星について実施します。同時に流れた流星が3個あるので、結果的には 59編のショートムービーが出来ました。
§.静止画への変換
各流星毎のショートムービーの全フレームを静止画として取り出したいのですが、Canon では付属のソフトで一括して取り出せたのですが、Sony のソフトでは窓口に確認したのですが 一括しては取り出せません。フリーソフトも探したけれど良いものが見つかりません。1フレーム毎に操作すれば可能なのですが日が暮れてしまいます。仕方がないので VideoPad で 「エクスポート」 → 「画像シーケンス」 として出力しました。これで動画1秒につき 30枚の静止画が得られました。この静止画の全部または流星の写っているコマを比較明合成して やっと一個の流星の静止画が得られます。この作業を23個のSDA群について行って、23枚の静止画が得られたので、それらを更に比較明合成したのが右の画像です。⇒⇒⇒(動画) |
§.動画撮影、すごい!
ところで、動画撮影の前に保険で撮っておいた静止画撮影の結果はどうだったのでしょうか? 動画と同じカメラ・レンズ(α7SⅢ・シグマ20mm)で f20mm , F3.5 , SS=2s , ISO6400 で 2時間連写しましたが、SDA群=2個、Per群=4個、散在流星=4個
(合計10個)の成果でした。それに比べて 動画の場合はほぼ同じ2時間で合計62個の成果です。静止画は月明あり、動画は月明無し と条件の差はあるものの 6倍もの大差で動画の圧勝です。
流星は 「写って何ぼ」の世界ですから、何と言っても 動画の ISO20万4800 は絶大な効果で、画質が悪いことを補って余りある威力だと思います。(後のチェックは疲れますが……(笑))
SDA群の画像で土星のやや右上方に写っている最も明るい流星ですが、合成前の各静止画から 発光後 0.1秒、0.2秒、0.3秒・・・0.7秒の姿を切り出してみました。 SS=1/30s ですが流星の移動速度が速いので光っている部分が点状では無く 線状に写っています。これはシャッター速度をもっと高速(例えば 1/60s) にしても流星に対しては露出不足にならないということを示しているので、背景や恒星が暗くなる分 さらにISO感度を上げられるということです。α7SⅢ は Max409600 まで上げられるので、画質悪化を考えなければ まだ余裕があります。次の撮影には反映させたいです。
ところで、動画撮影の前に保険で撮っておいた静止画撮影の結果はどうだったのでしょうか? 動画と同じカメラ・レンズ(α7SⅢ・シグマ20mm)で f20mm , F3.5 , SS=2s , ISO6400 で 2時間連写しましたが、SDA群=2個、Per群=4個、散在流星=4個
(合計10個)の成果でした。それに比べて 動画の場合はほぼ同じ2時間で合計62個の成果です。静止画は月明あり、動画は月明無し と条件の差はあるものの 6倍もの大差で動画の圧勝です。
流星は 「写って何ぼ」の世界ですから、何と言っても 動画の ISO20万4800 は絶大な効果で、画質が悪いことを補って余りある威力だと思います。(後のチェックは疲れますが……(笑))
SDA群の画像で土星のやや右上方に写っている最も明るい流星ですが、合成前の各静止画から 発光後 0.1秒、0.2秒、0.3秒・・・0.7秒の姿を切り出してみました。 SS=1/30s ですが流星の移動速度が速いので光っている部分が点状では無く 線状に写っています。これはシャッター速度をもっと高速(例えば 1/60s) にしても流星に対しては露出不足にならないということを示しているので、背景や恒星が暗くなる分 さらにISO感度を上げられるということです。α7SⅢ は Max409600 まで上げられるので、画質悪化を考えなければ まだ余裕があります。次の撮影には反映させたいです。
§.ちょっと気になること
① 動画の場合、背景の恒星が少ない気がします。静止画に写っている最微星は 9.0等星ですが動画は 7.5等星ぐらい。⇒⇒⇒ 静止画
の背景に動画から得た流星を比較明合成すれば良いと思っていましたが、動画から得た画像は静止画の 約91%の大きさなので
合成が面倒です。
② 動画の流星は色彩が単調? ⇒⇒⇒ データ不足なので今後の課題。
③ 動画の長さは 1時間ぐらいにした方が後処理が楽です。⇒⇒⇒ 2時間の動画ファイルを編集のために VideoPad に読み込むだけ
で 私のPCでは 30分ぐらい掛ってしまいます。
④ 動画はチェックが大変だし、かつ難しいです。⇒⇒⇒ 今回写った最も暗い流星は3等星でした。多分もう一度、しっかりと
チェックすれば もっと暗い流星が写っていると思われます。
⑤ 動画から得た流星の中には飛行方向が逆に思える姿のものがあります。元が動画だから間違えることはありませんが、もし静止
画だけだったら間違えてしまう可能性があります。
① 動画の場合、背景の恒星が少ない気がします。静止画に写っている最微星は 9.0等星ですが動画は 7.5等星ぐらい。⇒⇒⇒ 静止画
の背景に動画から得た流星を比較明合成すれば良いと思っていましたが、動画から得た画像は静止画の 約91%の大きさなので
合成が面倒です。
② 動画の流星は色彩が単調? ⇒⇒⇒ データ不足なので今後の課題。
③ 動画の長さは 1時間ぐらいにした方が後処理が楽です。⇒⇒⇒ 2時間の動画ファイルを編集のために VideoPad に読み込むだけ
で 私のPCでは 30分ぐらい掛ってしまいます。
④ 動画はチェックが大変だし、かつ難しいです。⇒⇒⇒ 今回写った最も暗い流星は3等星でした。多分もう一度、しっかりと
チェックすれば もっと暗い流星が写っていると思われます。
⑤ 動画から得た流星の中には飛行方向が逆に思える姿のものがあります。元が動画だから間違えることはありませんが、もし静止
画だけだったら間違えてしまう可能性があります。
§.まとめ
初めて流星の動画撮影を実施して、みずがめ座δ南流星群=23個、 同δ北群=3個、やぎ座α流星群=2個、ペルセウス座流星群=12個、散在流星=22個 が得られました。光害の激しい自宅からの撮影でも想定外に多くの流星を撮影でき驚いています。そして みずがめ座δ南流星群の23個の流星を輻射点から飛び散る姿(画像)に仕上げることができました。
目視での動画チェックは大変疲れますが、夜空が写っているモニター画面を睨みながら流星が流れるのをチェックするのは、野外で寝転がって夜空を睨み続ける実際の流星観測と同じ気分になることが出来て楽しいものです。 (2023.08.11 記)
初めて流星の動画撮影を実施して、みずがめ座δ南流星群=23個、 同δ北群=3個、やぎ座α流星群=2個、ペルセウス座流星群=12個、散在流星=22個 が得られました。光害の激しい自宅からの撮影でも想定外に多くの流星を撮影でき驚いています。そして みずがめ座δ南流星群の23個の流星を輻射点から飛び散る姿(画像)に仕上げることができました。
目視での動画チェックは大変疲れますが、夜空が写っているモニター画面を睨みながら流星が流れるのをチェックするのは、野外で寝転がって夜空を睨み続ける実際の流星観測と同じ気分になることが出来て楽しいものです。 (2023.08.11 記)