水星探査機 「みお」 の 地球スイングバイ 2020.04.10
§.はじめに
2018年10月20日にフランス領ギアナの宇宙センターから アリアン5 ロケットで 日本の水星探査機MMO(=みお)と欧州の探査機MPOが打ち上げられました。この2機の探査機は結合されたままベピコロンボという名称で水星に向かい、2025年12月に水星周回軌道に投入される予定です。その後、2機は分離されて独立して各々の観測を行います。
水星に到着するには膨大なエネルギーが必要なために、この「みお」(=ベピコロンボ)は、地球スイングバイ(1回)、金星スイングバイ(2回)、水星スイングバイ(6回)と計9回ものスイングバイを行い7年かけて水星に到着します。
打上げは欧州が主導して実施したので我々一般のアマチュアにとっては詳細情報が乏しく打上げ直後の 「みお」 の姿を撮影することは出来ませんでした。しかし2020年4月には地球スイングバイが計画されているので、この時に撮影できる可能性があり、それを期待しながら待っていました。
2018年10月20日にフランス領ギアナの宇宙センターから アリアン5 ロケットで 日本の水星探査機MMO(=みお)と欧州の探査機MPOが打ち上げられました。この2機の探査機は結合されたままベピコロンボという名称で水星に向かい、2025年12月に水星周回軌道に投入される予定です。その後、2機は分離されて独立して各々の観測を行います。
水星に到着するには膨大なエネルギーが必要なために、この「みお」(=ベピコロンボ)は、地球スイングバイ(1回)、金星スイングバイ(2回)、水星スイングバイ(6回)と計9回ものスイングバイを行い7年かけて水星に到着します。
打上げは欧州が主導して実施したので我々一般のアマチュアにとっては詳細情報が乏しく打上げ直後の 「みお」 の姿を撮影することは出来ませんでした。しかし2020年4月には地球スイングバイが計画されているので、この時に撮影できる可能性があり、それを期待しながら待っていました。
§.情報が足りない
2020年3月、スイングバイの約1ヶ月前になっても誰もスイングバイのことについて話題にしません。私のカレンダーには今年最大のビッグイベントとして 『4月11日06h12m 地球スイングバイ』 と記入されているのに・・・・・?? はやぶさ2の時は1ヶ月前には JAXA から色々と情報が公開されたのに「みお」 は人気がないのか動きが見えません。色々なサイトを調べていたのですが、地球スイングバイが 4月6日との情報もありました。少し焦りも出てきて、我慢できなくなり下記のように JAXA に問合わせをしました。
2020年3月、スイングバイの約1ヶ月前になっても誰もスイングバイのことについて話題にしません。私のカレンダーには今年最大のビッグイベントとして 『4月11日06h12m 地球スイングバイ』 と記入されているのに・・・・・?? はやぶさ2の時は1ヶ月前には JAXA から色々と情報が公開されたのに「みお」 は人気がないのか動きが見えません。色々なサイトを調べていたのですが、地球スイングバイが 4月6日との情報もありました。少し焦りも出てきて、我慢できなくなり下記のように JAXA に問合わせをしました。
JAXA からは 3月10日に下記回答を頂きました。
これでやっとスイングバイの最接近は日本から見えないことが分かりましたが、肝心の日付が分かりません。 6日? 11日?
でも JAXA が予報値を検討していることも分かったので一安心です。それからは毎日、JAXAのホームページ゙やツイッター をチェックしていましたが、3月13日のツイートで 最接近はどうやら 4月10日らしいことは分かりました。 でもその後のツイートが無く、イライラが募ります。3月27日に待ち侘びていたツイートがありましたが、何の役にも立たない糞ツイート。(ゴメンなさい) そして、29日だったか30日だったかに、ついに Heavens-Above に予報が公開されました。その予報によると、10日の秦野の天文薄明終了時(=19h40m)に 六分儀座で12.9等星で見えるらしいです。 |
距離が 112,717km なので予報値よりも暗い15等台を覚悟したとしても撮影出来そうな明るさなのでほっとしました。更に、同じ日にステラナビゲータ11でも ベピコロンボ を表示できるようになりました。これで材料(情報)は揃ったので、あとは天気次第ということになります。
§.天気 & 撮影場所
自宅から撮影するつもりだったのですが、一週間前のSCW天気予報によると全国的に晴れる予報のうち、山梨・神奈川だけ雨予報。長期予報は変化する可能性があるものの遠征も視野に入れておかないとダメだと思い、浜名湖方面 及び諏訪湖方面の適当な場所を探しました。
①東名・牧ノ原IC付近 ②新東名・遠州森SA付近 ③中央高速・諏訪南IC付近
④中央高速・須玉IC付近 ⑤精進湖北部
などの開けた畑地を YahooMap の航空写真、及び GoogleEarth のストリートビュー で探してステラナビゲータで その場所から 南天52゜の 「みお」 が見えることを確認しました。スイングバイ前日の天気予報では、浜名湖方面は 21時ごろから雲が出るようなので
候補地から外し、また諏訪湖方面も長野県側は曇りそうです。それで前記の④⑤に絞って当日の天気予報で決めることにしました。
§.いざ、出陣!
いよいよ当日になり、秦野は曇天なので遠征は必須です。天気予報を見て精進湖北部の山梨県甲府市古関町に行くことに決めました。雨がポツポツと降り出した中を出発して、途中の静岡県小山町も曇り、篭坂峠を越えても雲は晴れず心配が過ぎります。しかし西湖を
過ぎたころから青空が見えはじめ、目的地の古関町に着いたころには雲量は 3/10 ぐらいの好天になりました。時刻は出発してから約2時間の 17h45m で日没の 30分前ぐらいでした。しかし到着して辺りを見回すと大きな問題がありました。広い農耕地と思っていたのが、実は傾斜のきつい段々畑でその辺り一帯の北端にしか車を止めるスペースがありません。しかしそこは後ろに山が迫っていて北極星が見えそうにもありません。私の赤道儀は北極星が見えないと極軸を合わすことが出来ないのです。
§.天気 & 撮影場所
自宅から撮影するつもりだったのですが、一週間前のSCW天気予報によると全国的に晴れる予報のうち、山梨・神奈川だけ雨予報。長期予報は変化する可能性があるものの遠征も視野に入れておかないとダメだと思い、浜名湖方面 及び諏訪湖方面の適当な場所を探しました。
①東名・牧ノ原IC付近 ②新東名・遠州森SA付近 ③中央高速・諏訪南IC付近
④中央高速・須玉IC付近 ⑤精進湖北部
などの開けた畑地を YahooMap の航空写真、及び GoogleEarth のストリートビュー で探してステラナビゲータで その場所から 南天52゜の 「みお」 が見えることを確認しました。スイングバイ前日の天気予報では、浜名湖方面は 21時ごろから雲が出るようなので
候補地から外し、また諏訪湖方面も長野県側は曇りそうです。それで前記の④⑤に絞って当日の天気予報で決めることにしました。
§.いざ、出陣!
いよいよ当日になり、秦野は曇天なので遠征は必須です。天気予報を見て精進湖北部の山梨県甲府市古関町に行くことに決めました。雨がポツポツと降り出した中を出発して、途中の静岡県小山町も曇り、篭坂峠を越えても雲は晴れず心配が過ぎります。しかし西湖を
過ぎたころから青空が見えはじめ、目的地の古関町に着いたころには雲量は 3/10 ぐらいの好天になりました。時刻は出発してから約2時間の 17h45m で日没の 30分前ぐらいでした。しかし到着して辺りを見回すと大きな問題がありました。広い農耕地と思っていたのが、実は傾斜のきつい段々畑でその辺り一帯の北端にしか車を止めるスペースがありません。しかしそこは後ろに山が迫っていて北極星が見えそうにもありません。私の赤道儀は北極星が見えないと極軸を合わすことが出来ないのです。
仕方なく、この場所は諦めて、更に甲府市に向けて北進するか、少し戻るか迷いましたが若干ながら土地勘のある 「富士ヶ嶺公園」 付近まで戻ることにしました。富士ヶ嶺公園とはご存知の方もあると思いますが、旧上九一色村にありオーム真理教の第2,第3,第5サティアン跡地に作られた公園です。
出来るならば ここは気味が悪いから避けたかったのですが、日没もせまっており背に腹は代えられません。ちょうど日没ごろに 10台ぐらいの小じんまりとした駐車場に着きました。西側に慰霊碑、南側 50m先に 20基ほどの墓標が見えて気持ちが悪いものの、人影も街灯も通行車もなく OK と判断して望遠鏡の設置を始めました。 |
§.実際の撮影
日没時の雲量は 3/10 (西空のみ)で良好だったのですが、設置を終えて北極星が見え始めるのを待っている間に、雲が西空から北空に広がり、なかなか北極星が見つかりません。雲間からやっと見つけて極軸の設定を終えたころには雲量は 6/10~7/10になり、今度はアライメントを取るための明るい星が見つかりません。 『このままでは見えないかも知れない。今すぐに撤収して甲府方面に移動した方が良いのでは?』 と心が揺れます。しかし甲府方面で良い場所が見つかる保証もないので、このまま ここで続行することに決めました。19h20m からテスト撮影、19h40m から本番撮影を開始する予定だったのですが、全天がベタ曇りのなか、南空に雲の切れ間が現れてレグルスが見えました。急いでレグルスのみでアライメントを取って 撮影態勢が整ったのが 19h20m でした。しかし雲は分厚く 『このまま晴れないのではないか?』 との恐怖に襲われながら、祈るように待機していると、徐々に北天が晴れて来て本当に急速に晴れ間が広がってきました。19h35m には 雲量 2/10 になり、19h40m から撮影を開始することが出来ました。撮影中に カメラのモニターで移動して行く 「みお」 が確認できて、『ここに来て良かった。他に移動しなくて良かった。』 と奇跡的な晴天にウキウキしながら撮影を続けました。途中で雲に邪魔される時間帯もありましたが、大成功でしょう。もともと 21時まで 「みお」 を撮って、その後アトラス彗星(C/2019Y4)、パンスターズ彗星(C/2017T2)を撮影して帰るつもりでしたが、21時丁度には全天が曇ってしまって回復する兆しが見えないので、彗星は諦めて撤収しました。
§.撮影結果
「みお」 は Heavens-Above の予報光度よりも明るく 比較的簡単に撮影できました。私の撮った画像から ステライメージ8 で測光してみると、予報値よりも 1.3等も明るい 11.6等でした。バックアップとして200mmズームレンズ(実際は195mm)で撮った画像にも
しっかりと写っていました。つまり 「みお」 は望遠鏡を使わなくとも望遠レンズのみで撮影できるほど明るかったということです。
日没時の雲量は 3/10 (西空のみ)で良好だったのですが、設置を終えて北極星が見え始めるのを待っている間に、雲が西空から北空に広がり、なかなか北極星が見つかりません。雲間からやっと見つけて極軸の設定を終えたころには雲量は 6/10~7/10になり、今度はアライメントを取るための明るい星が見つかりません。 『このままでは見えないかも知れない。今すぐに撤収して甲府方面に移動した方が良いのでは?』 と心が揺れます。しかし甲府方面で良い場所が見つかる保証もないので、このまま ここで続行することに決めました。19h20m からテスト撮影、19h40m から本番撮影を開始する予定だったのですが、全天がベタ曇りのなか、南空に雲の切れ間が現れてレグルスが見えました。急いでレグルスのみでアライメントを取って 撮影態勢が整ったのが 19h20m でした。しかし雲は分厚く 『このまま晴れないのではないか?』 との恐怖に襲われながら、祈るように待機していると、徐々に北天が晴れて来て本当に急速に晴れ間が広がってきました。19h35m には 雲量 2/10 になり、19h40m から撮影を開始することが出来ました。撮影中に カメラのモニターで移動して行く 「みお」 が確認できて、『ここに来て良かった。他に移動しなくて良かった。』 と奇跡的な晴天にウキウキしながら撮影を続けました。途中で雲に邪魔される時間帯もありましたが、大成功でしょう。もともと 21時まで 「みお」 を撮って、その後アトラス彗星(C/2019Y4)、パンスターズ彗星(C/2017T2)を撮影して帰るつもりでしたが、21時丁度には全天が曇ってしまって回復する兆しが見えないので、彗星は諦めて撤収しました。
§.撮影結果
「みお」 は Heavens-Above の予報光度よりも明るく 比較的簡単に撮影できました。私の撮った画像から ステライメージ8 で測光してみると、予報値よりも 1.3等も明るい 11.6等でした。バックアップとして200mmズームレンズ(実際は195mm)で撮った画像にも
しっかりと写っていました。つまり 「みお」 は望遠鏡を使わなくとも望遠レンズのみで撮影できるほど明るかったということです。